自称「金属の変態」の店長が、
あなたを“金属沼”へと
引きずり込みます…。
本業で、いや、プライベートでもいつも金属ばかり見ている店長。金属の輝き、色、艶、強さ、変化、加工、汚れ……これらすべてがご飯のおかずになるのだとか! 世の中により多くの「金属の変態」を増やすため、店長が金属の魅力を熱く語ります。
溶接
「魚のウロコ」に、職人の愛を感じる。
溶接はヤバいです。溶接には、アーク溶接、スポット溶接、ガス溶接……(10分経過)。
溶接には高い技術が必要です。きちんと溶接されていないと強度が下がりますし、見た目も不恰好です。失敗すると「鳥のう○こ」みたいにポツポツで歪になるんですよ(笑)。逆に溶接が上手だと、魚のウロコのように美しい模様が見てとれます。そんな溶接はもちろん強度も高く、長年使用されるので、職人の愛を感じますね。日常でも、階段の手すりや公園のブランコなどで見かける、というよりガッツリ見て、よくニヤニヤしています……。
経年変化
「金属の変態」にも派閥がある。
ピカピカの金属をなるべく長く楽しみたいか。もしくは、時間や使用状況とともに変化していく見た目を楽しみたいか。「金属の変態」界隈は、今この2つの派閥で大いに揉めています。(知らんけど)
私はどっち派でもないですが、ちなみに私は金属の変化を「成長」と呼んでいて、自分なりに育てて成長を見守るのがすごく好きなんです。……私はどっち派でもないですが。
デレなピカピカ派
ピカピカを継続させるのはヤバいです。新品同様の見た目を保つのは不可能に近く、そもそも金属というものは……(20分経過)。
とにかく劣化させないことです。保管の前には水分はもちろん指紋に至るまで、乾いた布などできれいに拭き取る。洗う場合は市販のアルカリ電解水などもおすすめです。より輝きがほしい場合は、市販の金属磨き剤を使用しましょう。ピカピカ派の皆様におかれましては、ほんのわずかな変化からも金属を守るため、日頃から溺愛する「デレデレ」が重要です。ぜひピカピカ派どうしで「そんなにきれいなのに〇〇年も使ってるの!?」を楽しんでください!
ツンなアンティーク派
経年変化はヤバいです。革製品やジーンズなどでもそうですよね。金属も同じで、育てれば育てるほど愛情が増し、その愛は野を越え山を越え……(1年経過)。
喋りすぎて私の顔色も経年変化してきましたね。そんなことより、金属は基本的に変化するものです。真鍮製品は特に変化率が高いです。だったら、それを楽しまない手はありません。火のあたり具合による変色や思いがけない傷や汚れも、すべて魅力の一部。どう成長するか読めないところも含めて楽しみましょう。だからこそ、メンテナンスは最小限。錆びないように水分を取る程度に時に厳しく過保護にしないのも成長のポイントです。私レベルになると、金属製品1つひとつに名前を付けて育てますよ。
鉄製調理器具
重たい鉄には、想いを込める。
鉄板やスキレット、ダッチオーブンなど、最近は鉄製の調理器具が人気です。丈夫だし、料理も美味しいし、何といっても金属ですからね。私にとっては「2度美味しい」。ちなみに89ingには「極厚鉄板シリーズ」があります。鉄板は厚いほど蓄熱量が多く、食材がジューシーに焼けるとされているんです。「厚すぎる」なんて批判は、私にとっては褒め言葉なんですよ。
そんな鉄製の調理器具は、サビやこげ付きから守るため、最初に「シーズニング」を行うことが必須です。詳しくは下に書きますが、ポイントはお手入れの際に「美味しくなぁれ~」と想いを込めながら作業することです。植物なんかも普段からやさしく話しかけたほうがよく育つと言いますよね。アレです。ね、変態でしょう?
シーズニングの方法
鉄の表面に油を焼き込むことで、調理器具を使いやすくし、錆を防止し、長持ちさせるプロセスです。
これにより、鉄の調理器具は非常に滑らかな調理面を持ち、食材がくっつきにくくなります。
おいしく育てるのも一つの楽しみ方です。
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1.洗うべし
まずは全体をガッシガッシよーく洗浄し、油や汚れを落とします。水分は拭き取るまたは火にかけるなどしてきちんと取り除きます。
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2.油を塗るべし
表面全体に食用油=キャノーラ油やオリーブ油などの植物油を薄く塗り、全体に均等に広げます。
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3.焼き込むべし
コンロなどで直火で煙が出るくらい加熱します。煙が出なくなるまで続け、その後冷却します。この工程を3~5回繰り返します。
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4.野菜を炒めるべし
野菜クズを炒めます。食べるためではないですよ。目安は軽く焦げ付くくらい。これにより鉄臭さを取り除き、油を満遍なく馴染ませることができます。
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5.油で締めるべし
表面全体に食用油=キャノーラ油やオリーブ油などの植物油を薄く塗り、全体に均等に広げます。
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普段のお手入れ
使用後のお手入れは、しっかり洗い、しっかり乾燥させて、最後に全体に油を塗るだけです。特に水分は大敵。サビの原因になるので使用後は毎回徹底しましょう。
バリ
美しい薔薇にはトゲがある。
美しい金属にはバリがない。
バリとは、金属を加工した際にエッジなどに発生する出っ張りやトゲのことです。バリには、切削加工で発生するポアソンバリやロールオーバーバリ、さらにせん断やプレス加工でも……(30分経過)。
バリが残っていると、ケガの恐れがある。近接するものも傷つけます。そしてもちろん、美しくない。私なんかは、金属を愛でるためによくエッジをナデナデするので、バリが残っている金属製品など、言語道断ですね。美しいバラにはトゲがありますが、美しい金属にバリはないんですよ!
曲げ加工
曲げがきれいな職人は
性格も曲がっている。
金属の曲げ加工は、プレスブレーキによる折り曲げや曲線を作るロール曲げなどの機械を使った加工、あるいは熱を使って……(40分後)。
曲げる加工を得意としている職人がウチに何人かいますが、曲げ加工が上手であればあるほど、性格がひん曲がっていますね(私調べ)。なので、市販の製品できれいに曲げられた金属を見ると、どうしても職人の性格が気になってしまいます(笑)。美しい曲線に見惚れながらも、そんな風に作り手のことを想像してみるのもひとつの楽しみ方かもしれません。
個性
とにかく見つめる。
ただただニヤニヤしとけ!
同じ金属製品がたくさん出回る世の中ですが、その1つひとつをよく見れば、すべてが個性的でオンリーワンなんですよ。使用期間や使い方、保管の方法や傷跡などで見た目も全然違ってきますし、使う人の人物像まで映し出すほどです。
キャンプなどで美しい自然を満喫するのもよいですが、時には自分のお気に入りの金属製品を見つめながら、ニヤニヤする。ともに過ごしてきた日々を振り返る……なんて時間も、なかなかの変態、いや、素敵だと思います。
皆さんにとって、そのくらい愛し続けられる金属製品を提供できるよう、89ingはこれからもがんばります!